COVID-19下のインディミュージシャンのリリース戦略

この記事は、2020年4月27日にCD Baby DIY Musician Blogに掲載された記事、”Strategies for releasing independent music among COVID-19”の翻訳です。

By Monica Moser


こんな2020年を予測した人は誰もいません


3月が終わると、Rolling Stoneがこの隔離とソーシャルディスタンシングの期間に音楽のストリーミング数が低下したと報告しましたが、その後、4月7日にはBillboardが実際にはストリーミングは増加傾向にあると発表しました。

今やアーティストおよびグループは海図のない海を航行しており、マーチャンダイズを特価販売したり、Zoomでライブをやったり、他のアーティストとInstagram Liveでコラボしたり、何とか失った売り上げを取り戻そうとしています。そして「完全に収束するまでリリースは控えるべきなのだろうか?」と思案しているのです。

世界が停止しているからといって、アーティストやバンドも停止するべきだと考える必要はありません


リリースするべきかどうかは、アーティストやそのチームが判断することですが、ストリーミングが増加傾向に戻ったのなら、そして
メジャーアーティストがリリースを延期しているのであれば、今こそインディアーティストが露出する良い機会なのかもしれません。

2020年のリリースに対するいくつかの助言を書いておきます:


リリースについて投稿する際にはソーシャルネットワークの統計情報を理解し、「7回ルール」を採用


ソーシャルネットワークの統計情報は、新譜について投稿する最も効果的なタイミングを知り、オーディエンスが最も好む相互参照するべき投稿とはどのようなものかを知るための素晴らしいツールです。Facebookページ(パーソナルプロフィールページではありません)とInstagram(必ずビジネスアカウントでなければなりません)なら、こうした統計情報をインサイトとして利用することができます。

そして1930年代からマーケティングの世界では、7回ルールが唱えられてきました。単純化して言えば、消費者は特定の製品に関する宣伝を7回聞いて、初めてその製品を買うか検討するというものです。音楽のリリースでも、このルールを採用しましょう! 楽曲は芸術表現ですが、同時に製品でもあります。リリースも同様に扱い、利用しているプラットフォームで最低でも7回は共有しましょう。自身のコミュニティで製品を7個以上の創造性にあふれ、楽しい方法で共有する計画を事前にスケジュールしておくことが肝心です。

ソーシャルネットワークのターゲット広告を使う


ソーシャルネットワークでは、リーチしたい特定の層をターゲットにして広告をカスタマイズすることができます。ソーシャルネットワークの広告マネージャが提供する分析ツールは非常に役立ちますが、手動でもターゲットを選定して設定するべきです。例えば、曲が若々しいなら広告のターゲットを著しく若年層にするのも良いアイデアです。ジャンルや似たアーティストだけでターゲットにする消費者を決める必要はありません。レーベルや流通、企画などの会社を対象にしても良いし、管理職やA&Rなどの肩書きを対象にしても良いでしょう。こうすることで、皆さんのようなアーティストを発掘したいと思っている相手をターゲットにすることができるのです。

Spotifyのプロフィール(バイオや写真など)を最適化し、ウェブサイトにフォローボタンを埋め込む


Spotifyは重要なプラットフォームであり、そこで自分をどう見せるかが肝心となります。カバー写真があり、セクション用に何枚かのストック写真があり、バイオがあり、ソーシャルネットワークが接続されている状態で、自分のウェブサイトにフォローボタンを埋め込みましょう。さらに、写真とバイオの内容が自分のウェブサイトや他のソーシャルネットワークプラットフォームと統一感があって、自分の個性や音楽の雰囲気を的確に伝えるものでなければなりません。音楽が基本的にアップビートで暖かいのであれば、写真も暖かい色味の自然や明るい背景であるべきでしょう。音楽が沈鬱なのであれば、冷たいトーンの真面目な写真を選ぶべきかもしれません。こうした細かい点が実際には大きな違いを生み出すのです。

自分自身のプレイリストキューレターになる


アーティストプレイリストを作成し、ネットワーク構築を開始してください。テーマのあるプレイリストでも良いし、影響を受けた楽曲のリストなどでも良いしでしょう。こうしたプレイリストに自分の楽曲を入れておくのを忘れないでください。プレイリストは毎週や毎月、あるいは好きなタイミングで更新し、フォローワーを徐々に増やしていきます。他のアーティストからの曲の提出も受け付け、追加したらタグしておきます。これは自らがプレイリストのキューレターになり、他のアーティストと知り合い、自分の楽曲のストリーミング回数とリスナー数を有機的に増やす素晴らしい現実的な方法です。

ファンがメーリングリストに登録したくなるよう誘導する


例えばPatreonを使ったり、自分のメーリングリストサービスのランディングページで、ファンに対してメーリングリストに登録することでリリースの数日から数週間前に新譜を聴いたり、ミュージックビデオが観られることを告知するのです。ソーシャルネットワークの投稿は埋もれがちだし、偽アカウントにフォローされていると逆効果の場合もあるので避けるべきです。電子メールだって見逃されることはありますが、メーリングリストはファンに対して最も目的が通じやすく、直接につながることができる方法なのです(手書きの凝った手紙には負けるかもしれません)。

我々、Streaming Promotionsはサードパーティプレイリストの力を信じています


アーティストが、Spotifyのエディタープレイリストに載ることを必要以上に目指しているように思えることがあります。エディタープレイリストに乗れば、ソーシャルネットワーク上でも注目されてリスナーが爆発的に増えるからですね。でも、そんなプレイリストに掲載される可能性は著しく少ない上に、一時的にリスナーが増えてもプレイリストから除去された途端に急激に落ち込んだ時に何をすれば良いかわかりますか? サードパーティのプレイリストを利用すれば、ハードルを回避しつつ自らを露出させ続けることができるのです。

確かに詐欺のような会社が存在しますが、サードパーティプレイリストの会社はアーティストにとって素晴らしいツールになり得ます。アーティストやバンドが新しいリスナーを得て、プラットフォーム上の独立したキューレターと出会い、Spotifyのアルゴリズムを反応させることができます。

弊社のCEOであるMichael Sloaneは、そんなエディタープレイリストについて警告したForbesの記事に次のように返しています:

Spotifyのエディタープレイリストに掲載されるには、楽曲を提出する以外の方法がないことを我々は知っています。そこで我々はUGC(ユーザ・ジェネレーテッド・コンテンツ)に注力しているのです。毎日4万曲がリリースされるSpotifyでエディタープレイリストに掲載されるチャンスはわずかであり、掲載されなければ、すべてがおじゃんになり、楽曲をリリースするというスタートへ逆戻りするという終わりのないループに陥ることを意味します。これはソーシャルネットワークで同じコンテンツを同じ人々に繰り返し発信し続けているのに、誰もあなたに気づかないのと同じです。

この記事の対象は、100%エディタープレイリストです。その内容に我々も異論はありません。誰かがあなたの曲をエディタープレイリストに掲載してあげると言ったら、それは詐欺以外の何物でもありません。レーベルリレーションとアーティストとの接点が重要なのです。しかし、彼はSpotifyのエディタープレイリストのエコシステム外でもアーティストはブレークし得ることに触れていません。音楽をリリースし、エディタープレイリスト以外で有機的にオーディエンスを得ることは、ファンとオーディエンスを増やし、数字を押し上げ、アルゴリズムを通してより多くのオーディエンスが音楽を聴くきっかけになる可能性があります。そして、この手順を踏むことで結果としてエディタープレイリストへの掲載が期待できるのです。UGCあるいは独立系のプレイリストプロモーションが無間地獄から脱出させてくれます。」

Streaming Promotionsは、Spotifyのストリーミングサービスに音楽を戦略的に掲載することを専門とするテイラーメードのデジタル戦略とミュージックマーケティングの代理店です。楽曲を我々のウェブサイトから提出いただくことができますし、Mediumで我々のコンテンツを読むことが可能です。

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